矯正歯科は、一般的に歯並びの不正を治す治療のことをいいますが、単に見かけをきれいに並べるだけではなく、歯を中心とした咀嚼器官、顔の形、機能の回復をはかり、かみ合わせ、発音、全身の健康に影響を及ぼす治療の一分野です。 近年、特にお子様の歯列不正が多く見受けられます。当院では矯正治療を専門的に行っていませんが必要な患者様には矯正専門医をご紹介させていただいております。矯正治療は保険が効かないため、躊躇される保護者の方もいらっしゃると思います。しかし、治療するしないは別として矯正相談(治療期間・方法・いくらぐらいお金がかかるのか・・・等)といった形で低価格にて診断していただくことも可能です。
小児矯正(子供矯正)では、お口の状態により治療目標が異なります。
小児矯正は、開始する時期の違いによって1期治療と2期治療に分けることができ、1期治療は4~5歳の乳歯だけの時期から11歳くらいまでの永久歯と乳歯が混在している時期までの期間です。2期治療は生えそろった永久歯全体の噛み合わせを整えるための治療です。
1期治療ではあごの骨のバランスや大きさを整える骨格矯正で、いわば土台を整えるのを主目的としています。2期治療はすべての永久歯の位置を整えるため本格的矯正装置による治療です。
小児矯正の治療期間の目安 | |
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1期治療 (骨格矯正) |
4歳~11歳 |
2期治療 (歯列矯正) |
11・12歳~成人 |
1期治療はまだ小さく柔軟なお子様のあごの成長を促進または抑制することによってバランスを整えることが目標です。このことでなるべく永久歯を抜かないで歯並びを整えることができます。さらに、1期治療であごの骨を整え大人の歯がきちんと並ぶ土台ができるため、2期治療そのものが必要ない場合もあります。
顎を広げたり顎の成長を促す事により抜歯の可能性を減らせる事ができます。
成長後矯正治療をした場合2~4本の永久歯抜歯が必要な場合でも小児期に矯正治療を行う事によって非抜歯となる可能性もあります。
顎骨の成長期において左右バランスがくるった噛み合わせとなっている場合、偏咀嚼といって片方でばかり噛んでしまう事により、より顔の非対称が悪化することがあります。小児期は噛み合わせを改善することにより噛みやすくなり、顎の成長のバランスを整えることが出来ます。
歯の生え変わりの時期に歯の傾きが原因で受け口、出っ歯、交差咬合、開咬などになっている場合、放置する事により噛み合わせが悪化し、成長が止まる頃には顎の前後のずれが大きくなりすぎて顎の手術を併用した外科矯正が必要となることがあります。早めに噛み合わせを治す事により正しい成長バランスが可能となって手術の必要性が減ります。
歯の大きさが極端に大きく、いずれ抜歯が必要となるケースであっても、矯正治療の仕上がりが変わってきます。
顎の成長をバランスよく保つ事により、より良い仕上がりとなります。
あらかじめ小児矯正時期に歯並びを改善する事により、本格矯正が必要となった時、治療期間を短くすることができます。
早めに目立つ部分の歯並びを改善してあげる事によって、からかいやいじめの対象となっている状態を改善します。コンプレックスを解消する事により、健全な精神発達の環境を整えてあげる事ができます。
11・12歳以降で永久歯が生えそろってから行う全体的な矯正装置を用いて歯並びと噛み合わせを整える治療です。
すべての不正咬合が治療対象になりますが、例外的にあまりに骨格的に前後、左右などのバランスがずれてしまっている患者さまでは成長が止まるのを待って外科矯正を行う場合があります。
矯正装置にはほとんど目立たないもの(セラミックブラケット)、歯の裏側から装着し、表からはほとんど見えないもの(リンガルブラケット)などがあります。当医院では患者さんのお口の中の状態に合わせて最も適した装置を選択し、有効な治療で歯並びを矯正します。
叢生(八重歯・乱ぐい歯)
歯が重なり合っている状態を叢生(八重歯・乱ぐい歯)と言います。叢生の場合、歯ブラシがゆきとどかず、汚れが残りやすくなり虫歯や歯槽膿漏、口臭の原因になることがあります。
上顎前突(出っ歯)
上の歯が前に出ている噛みあわせを上顎前突(出っ歯)と言います。歯が出ていると折れたり、唇を切ったりしやすく、見た目にもよくありません。
反対咬合(受け口)
下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせを反対咬合(受け口)と言います。受け口の人は食べ物がよく噛めないだけでなく聞き取りにくい話し方になります。